ご依頼者様の代理人として動かれている方へ。
シンガポール法人との取引をご検討の段階、あるいは既に取引があり、その内容に疑問が生じた段階かと思います。
シンガポールの登記情報は、比較的よく整っています。だからこそ見落とされるのですが、登記が整っていることと、そこで事業が行われていることは、別の話です。
この形が、珍しくありません。 統括機能だけを置き、人も設備も別の国にある。それ自体は正当な形です。問題は、どちらを見て判断したかです。
01登記に書いてあることと、確かめる必要があること
| 登記から分かること | 登記からは分からないこと |
|---|---|
| 登記から分かること会社の所在地として登録されている住所 | 登記からは分からないことその住所に事務所があり、人がいるかどうか |
| 登記から分かること役員として登録されている人物 | 登記からは分からないこと実際に意思決定をしている人物が別にいないか |
| 登記から分かること設立の時期と、資本の額 | 登記からは分からないことその資本が実際に事業に使われているか |
| 登記から分かること事業目的として登録されている内容 | 登記からは分からないことその事業が、どの国で、誰の手で動いているか |
右側を確かめるには、登記地とは別の国を見る必要があります。工場や現地法人がマレーシアにあるのなら、そこで人が動いているかどうかは、マレーシアでしか確かめられません。
02こういうご相談です
- 新規の取引先がシンガポール法人。登記は確認したが、それだけで判断してよいか分からない
- 取引先の住所を訪ねたが、複数の会社が同じ住所を使っていた
- 契約の相手はシンガポール法人だが、実際にやり取りしている担当者は別の国にいる
- グループ会社の実態を確かめたい。傘下の現地法人が、報告どおりに動いているか
- 出資や買収の前に、対象会社の事業がどこで、どの規模で行われているかを見たい
当社が確認を行うのは、事業の実体があると見込まれる国です。国ごとに確かめられる範囲が違うため、次のブロックで先に線を引きます。
03できることと、できないこと
企業の調査は、期待されるものと実際に届くものが離れやすい分野です。ご依頼者様に説明していただく必要がありますので、線を先に引きます。
- 非公開の内部資料を入手することはできません。財務の詳細、契約書、取引先の一覧など、社外に出ていないものは対象外です。
- シンガポール国内での調査行為は行いません。
- 取引先や顧客を装って、対象会社に接触することはいたしません。
- 従業員として入り込むこと、また社内の方に情報の提供を求めることはいたしません。
- 取引してよいかどうかの判断は申し上げません。与信の可否や格付けは、当社の領域ではありません。
三つ目と四つ目は、実務としてはできてしまう部分です。それでも行わないのは、その方法で得たものは、その後の手続きでご依頼者様の側が問われる材料になるためです。
| 事務所の実在 | 登記上の住所に、実際に事務所があるか。看板、入居の状況、同じ住所を使っている他社の有無を確認します。 |
|---|---|
| 稼働の状況 | 人が出入りしているか、業務が行われている様子があるか。登記地と、実体があると見込まれる国の両方で見ます。 |
| 設備と規模 | 工場や倉庫がある場合、その所在と規模。搬出入があるかどうか。事業目的と実際が合っているかを見ます。 |
| 役員と株主 | 登録されている人物が実在するか。他の法人にも名前が出ていないか。複数の会社で同じ人物が並んでいる場合があります。 |
| 関連する法人 | 同じ人物や住所で繋がっている会社の有無。休眠しているもの、既に清算されたものを含みます。 |
| 係争の履歴 | 過去に当事者となった手続きの有無。同種の取引で問題が起きていないかを見ます。 |
いずれも事業の実体があると見込まれる国で確認します。台湾・中国・香港・韓国・マレーシア・インドネシア・タイ・ベトナム・フィリピン・日本。国ごとに公開されている記録の範囲が違うため、届く深さは一律ではありません。着手前に、対象国ごとの見込みをお伝えします。
何も出てこないことがあります。登記どおりに事務所があり、業務が行われていて、特に引っかかるものが見当たらない——という結論です。これは失敗ではなく、ひとつの結果です。
取引を進めてよいという判断は申し上げませんが、確かめたうえで何も出なかったという事実は、社内での説明にお使いいただけます。
制度上、取得が制限されている記録もあります。ただし、一切開かないという意味でもありません。どなたが何のために必要とされるかによって道が残っていることがあります。そこはご相談の中でお答えします。
04進め方と、お渡しする書面
取引の可否をご判断いただく時期が決まっている場合が多いため、期限を先に伺います。そのうえで、どこまで確かめられるかをお伝えします。
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STEP 01
対象と期限を伺う
会社名と登記地、そして何を判断されたいのか。秘密保持契約書と、暴力団排除に関する誓約書は当社から提出します。
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STEP 02
記録から当たる
登記・登録に残っているものを、関係する国ぶん確かめます。ここで実体がどの国にありそうかの見当がつきます。
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STEP 03
現地で確かめる
事務所や設備が実在するか、稼働しているか。登記地と、実体があると見込まれる国の両方で当社が確認します。
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STEP 04
突き合わせる
登記に書かれていることと、現地で確かめたことを並べます。合っている部分と、合っていない部分をそのまま示します。
STEP 02 の段階で、記録上すでに判断の材料が揃うことがあります。その場合はそこでご報告し、現地での確認が要らないなら、そのぶんの費用はいただきません。
- いつ、どの国で、どの記録を確認したか
- 登記・登録の内容と、現地で確かめた内容
- 両者が食い違っている点
- 確認できなかった事項と、その理由
- 取得元の区分(公開記録か、現地での確認か)
三つ目を独立させています。食い違い自体が、このページのご依頼で最も価値のある情報だからです。ただし、その食い違いが問題を意味するかどうかの評価は申し上げません。正当な理由があることも多いためです。
報告書は、社内での説明や稟議にそのままお使いいただける形で整理してお渡しします。法律事務所や会社法務のご担当者様からのご依頼も受けています。
ただし、裁判で証拠として採用されることをお約束することはできません。採否は手続きの中で決まるものであり、当社が保証できる領域ではないためです。
ご依頼者様のお名前と、対象会社に関して伺った内容は、当社の中で担当する者だけが取り扱います。ご依頼があったこと自体を外部に申し上げることはありません。各国で確認を行う際も、依頼元が判る形で対象会社や関係者に接触することはいたしません。
報告書と、お預かりした資料の保管については、ご契約前の書面に記載しています。ご希望があれば、ご報告後に破棄する取り扱いも承ります。
05費用について
費用は、確認する国の数と、記録から現地の確認までどこまで進めるかで決まります。登記地だけを見るのか、実体があると見込まれる国まで見るのかで変わります。
ご相談の段階で範囲を決め、着手前に総額を確定してからご契約いただきます。進行中に費用が増えることはありません。
- 会社名と登記地が分からない段階で、金額をお答えすることはできません。
- 問題が見つかった場合のみ、という料金でのお引き受けはしておりません。何も出てこないことにも意味があり、確認そのものに費用が発生するためです。
- 複数社をまとめてご依頼いただいた場合も、社数ぶんの費用が発生します。
おおよその幅は、対象国と見る範囲を伺えばその場でお伝えできます。詳しくは費用のページをご覧ください。
06よくいただくご質問
財務の状況を調べてもらえますか。
公開されている範囲であれば確認できますが、非公開の内部資料を入手することはできません。当社が確かめるのは、事務所や設備が実在するか、稼働しているか、役員や関連法人がどう繋がっているかといった部分です。
取引してよい相手かどうか、意見をもらえますか。
判断は申し上げません。事実をお伝えするところまでが当社の仕事です。登記と現地で確かめたことの食い違いも含めてお渡ししますので、そこから先はご依頼者様と代理人の方でご判断ください。
登記の住所に複数の会社が入っていました。問題でしょうか。
それ自体は問題とは限りません。シンガポールでは、登記の代行を行う事業者の住所が使われることがあり、正当な形です。確かめるべきは、事業の実体がどの国にあるかのほうです。
急いでいます。どのくらいで結果が出ますか。
記録から当たるところまでであれば、比較的短い日数でお出しできます。現地での確認まで進む場合は、対象国の数だけ日数が要ります。期限を先に伺い、その中で何ができるかをお伝えします。
相手に調べていることが伝わりませんか。
依頼元が判る形で対象会社や関係者に接触することはいたしません。ただし、絶対に気づかれない、とは申し上げません。小規模な事業所では、外部の動きが目に留まることがあります。その見込みも含めて、着手前にお伝えします。







