ご依頼者様の代理人として動かれている方へ。
シンガポールにいる相手について、その方の過去と資産を確かめたい——というご相談を受けます。
このとき、多くの調査会社は「シンガポールで調べます」とお答えします。当社はそう申し上げません。その方の背景は、シンガポールには残っていないことがほとんどだからです。
その方の背景も資産も、来られた国に残っているからです。 だから当社は、シンガポール国内で調査行為を行いません。確認は、その方が来られた国で行います。
01この国で起きていること
シンガポールには、各国から人が集まっています。台湾から、中国から、韓国から、マレーシアから、インドネシアから。事業の統括機能を置く方、資産の置き場として選ばれる方、家族ごと移られる方。理由はさまざまです。
共通しているのは、その方の来歴が、この国には積み上がっていないということです。滞在が数年であれば、シンガポール側に残るのは住まいと会社の登記くらいで、過去の事業も、係争も、資産も、出身国とその周辺に残ったままです。
現在の住まい、法人の登記、役員としての登録、日々の行動。
つまり「いまの姿」です。
過去の事業と取引、関わった法人、係争の履歴、不動産や持分。
つまり「その方が何をしてきたか」です。
ご相談の多くは、後者を知りたいというものです。取引の可否を判断するにも、回収の見込みを立てるにも、必要なのは「いまの姿」ではなく「何をしてきたか」だからです。
当社が確認を行うのは、その方の背景と資産が実際に所在する国です。国ごとに確認できる範囲は異なり、次のブロックで先にその線を示します。
02できることと、できないこと
ご依頼者様に説明していただく必要がありますので、線を先に引きます。
- シンガポール国内での調査行為は行いません。
- 非公開の個人情報を、正規の手続き以外で取得することはいたしません。
- 身分を偽って対象者や関係者に接触することはいたしません。
- 取得した事実について、法的な評価や判断を申し上げることはいたしません。
最後の一点は、方針として置いています。判断は、ご依頼者様と代理人の方の領域です。当社は、判断の材料になる事実を、どこまで確かめられたかとあわせてお渡しするところまでを担います。
- 対象者の来歴——出身国での過去の事業、関わった法人、役員や株主としての関与
- 資産の所在——不動産、法人の持分、その方の名義で残っているもの
- 係争の履歴——過去に当事者となった手続きの有無
- 関係者——共同経営者、家族、名義に関わっている人物
- 現在の所在——複数国を行き来されている場合の、いまの動き方
いずれもその方の背景と資産が所在する国で確認します。国ごとに公開されている情報の範囲が違うため、確かめられる深さも変わります。着手の前に、対象国ごとにどこまで届くかをお伝えします。
何も出てこないことがあります。調べた結果、記録上に何も残っていない、という結論になる場合です。これは失敗ではなく、ひとつの結果です。「確認できなかった」ということ自体が判断の材料になりますので、そのまま書面に記載してお渡しします。
制度上、取得が制限されている情報もあります。ただし、一切開かないという意味でもありません。どなたが何のために必要とされるかによって道が残っていることがあります。そこはご相談の中でお答えします。
03どの国で、何を確かめるか
対象者がシンガポールにおられる場合、確認は一国では終わりません。出身国、事業の実体がある国、資産が置かれている国——この三つが別々であることが珍しくないからです。
- 現在地 シンガポール ご本人の住まいと、統括法人の登記。日々の行動もここにある。
- 来歴・資産 台湾・香港 過去の事業、関わった法人、不動産や持分が残っている。
- 事業の実体 マレーシア 工場と現地法人。人が動いていて、取引の記録が積み上がる。
- 関係者 インドネシア ご家族、名義に関わっている人物、共同経営者。
実在の案件ではなく、起こりうる散らばり方の一例です。国の組み合わせは案件ごとに変わりますが、一国で完結しないという点は共通しています。
この場合、シンガポールだけを見て出せるのは左端の一つだけです。判断に必要なものは、残りの三つに入っています。
- 台湾
- 中国
- 香港
- 韓国
- マレーシア
- インドネシア
- タイ
- ベトナム
- フィリピン
- 日本
いずれの国でも、確認は当社が行います。国ごとに公開されている情報の範囲が違うため、届く深さは一律ではありません。着手前に、対象国ごとの見込みをお伝えします。
各国の調査会社にそれぞれ依頼された場合、届くのは国ごとにばらばらの報告です。書式も、確認の深さも、記載の粒度も揃いません。それを突き合わせて一本の判断材料にする作業は、ご依頼者様か代理人の方の手元に残ります。
当社は各国に体制を持っているため、対象者ひとりについて、複数国で確認した結果を一本の報告書にまとめてお渡しします。どの国で何が確認でき、何が確認できなかったかを、同じ基準で並べた形です。
国を跨いだ手続きをご検討の場合、最初の問題は「どの国の資産に手が届くか」になります。そこが固まらないと、手続きの設計に入れません。この一点を先に確かめるためのご依頼を、法律事務所からお受けしています。
04進め方と、お渡しする書面
ご依頼者様に説明していただけるよう、着手までの流れを先に示します。
| ご相談 | 対象者がどの国から来られたか、何を判断されたいのかを伺います。この段階で対象者のお名前は必要ありません。秘密保持契約書と、暴力団排除に関する誓約書は当社から提出します。 |
|---|---|
| 範囲を決める | どの国で、何を確かめるかを決めます。国ごとに届く深さが違うため、確認できる見込みと、確認できない部分を先にお伝えします。ここで費用も確定します。 |
| ご契約 | 調査内容・費用・期間・報告の形式を書面にします。着手はご契約後です。 |
| 確認 | 各国で確認を進めます。途中で範囲を変えたほうがよいと判断した場合は、必ずご相談してから動きます。 |
| ご報告 | 複数国の結果を一本の報告書にまとめてお渡しします。ご不明な点は、書面をご覧いただいたうえでお答えします。 |
- いつ、どの国で、どのような方法で確認したか
- 確認できた事実
- 確認できなかった事項と、その理由
- 取得元の区分(公開記録か、現地での確認か)
三つ目を必ず入れています。何が分からなかったかが書かれていない報告書は、判断の材料になりません。「調べたが記録が残っていなかった」のか「そもそも取得できない情報だった」のかで、次に打てる手が変わるためです。
報告書は、社内での説明や手続きの検討にそのままお使いいただける形で整理してお渡しします。法律事務所や会社法務のご担当者様からのご依頼も受けています。
ただし、裁判で証拠として採用されることをお約束することはできません。採否は手続きの中で決まるものであり、当社が保証できる領域ではないためです。
ご依頼者様のお名前と、対象者に関して伺った内容は、当社の中で担当する者だけが取り扱います。ご依頼があったこと自体を外部に申し上げることはありません。各国で確認を行う際も、依頼元が判る形で対象者や関係者に接触することはいたしません。
報告書と、お預かりした資料の保管については、ご契約前の書面に記載しています。ご希望があれば、ご報告後に破棄する取り扱いも承ります。
05費用について
費用は、確認する国の数と、それぞれの国で入る深さで決まります。一国で完結する調査より、跨ぐぶんだけ積み上がります。
ご相談の段階で範囲を決め、着手前に総額を確定してからご契約いただきます。進行中に費用が増えることはありません。範囲を広げたほうがよいと判断した場合も、必ずご相談してからお見積りを出し直します。
- 対象者のお名前と対象国が定まらない段階で、金額をお答えすることはできません。
- 成果に応じた料金(成功報酬のみ)でのお引き受けはしておりません。何も出てこなかった場合も、確認そのものに費用が発生するためです。
おおよその幅は、対象国の組み合わせを伺えばその場でお伝えできます。詳しくは費用のページをご覧ください。
06よくいただくご質問
対象者の名前を伝えずに相談できますか。
できます。最初のご相談では、対象者がどの国から来られたか、何を判断されたいのかが分かれば足ります。お名前を伺うのは、範囲と費用を詰める段階です。
依頼したことが相手に伝わることはありませんか。
依頼元が判る形で対象者や関係者に接触することはいたしません。ただし、絶対に気づかれない、とは申し上げません。相手が警戒している状況では、確認の動き自体が伝わる可能性があります。その見込みも含めて、着手前にお伝えします。
対象者がシンガポールにいるのに、なぜ他の国を調べるのですか。
その方の来歴と資産が、そちらに残っているためです。シンガポールでの滞在が数年であれば、この国に積み上がっている記録は限られます。判断に必要なものは、来られた国の側にあります。
どのくらいの期間がかかりますか。
対象国の数と、確認する内容によって変わります。範囲が決まった段階で日数をお伝えし、ご契約の書面に記載します。期間を延ばす必要が出た場合は、その時点でご相談します。
途中で内容を変えることはできますか。
できます。確認を進める中で、別の国や別の項目を見たほうがよいと判明することがあります。その場合は当社からご相談し、あらためてお見積りを出します。







